猫が引き合わせてくれた
人間たちの悲しくて愛しい物語。
Contents
猫好きによる、７匹の猫と人間の物語
始めから終わりまで猫が登場するお話です。
有川ひろさんが猫好きなのかどうか、実は知りません。
ただ、ここに書かれている猫たちは皆、愛されている。
これは有川さんもかなりの猫好きだろうと思っています（笑）
収録作品の下記の通り下り
- ハチジカン～旅猫リポート外伝～
- こぼれたび～旅猫リポート外伝～
- 猫の島
- トムめ
- シュレーディンガーの猫
- 粉飾決算
- みとりねこ
旅猫リポートのスピンオフ作品が２作も収録されているんですよ！
有川フリークとしては、それだけでもワクワクしちゃいます（笑）
せっかくですから、全てのお話について感想を書いていきたいと思います！
気になる題名の感想だけ読みたい方は、上の題名をクリックして飛んでくださいね♪
ハチジカン
題名のごとく、旅猫リポートに出てくる猫「ハチ」のお話です。
ハチがサトルに拾われてから死ぬまでが書かれています。
特に読みどころなのは、ハチが親戚にもらわれていった後の話。
一言でいうと「愛しくて切ない」
ハチがなぜ事故でなくなったのか
その理由が本当にいたたまれなくて、旅猫リポート同様、涙なくしては読めない物語です(´;ω;｀)
こぼれたび
こちらも旅猫リポートの外伝です。
ナナの貰い手候補はもう一人いた、というお話です。
貰い手候補は、大学の先生。
サトルも先生も会いたいけど会いたくないというお互いの過去のイザコザがあって、今回再開したことで和解できた、というお話。
人間の一番単純な愛情表現は
「ありがとう、大好きだよ」
なんだなって思い知らせてくれます。
どんな難しい言葉もいらないから、大事な人に「ありがとう、大好きだよ」って言いたくなるお話でした(*^^*)
猫の島
猫の島は、父親が再婚して相手の晴子さんを「お母さん」と呼べないリョウが、猫の島で晴子さんと父親の出会いを知るうちに打ち解けていく、というお話です。
親が再婚した子どもの複雑な心情ももちろん読み取れるんですが、
私が一番読んでて印象的だったのは、
「弱いものから狩られる、そういうものだ」
という島のおばあさんの言葉。
本当は自然ってそうなんだよねって思って、残酷だなーって。
それを助けず自然だと受け止めているおばあさんが残酷なことを言ってるんだけどカッコいいんです。
だけど、猫を助けた両親に「自然だったら助けない方がいいんじゃないの」っておばあさんの聞きかじりを言ったリョウに、
晴子さんが言った一言がもっともっと人間らしくて素敵です♪
トムめ
毎晩夜中の３時におやつをおねだりする猫のお話です。
段々とエスカレートしていく悪戯・・・
夜中にこんなに起こされてもトムをかわいいと思える飼い主に尊敬しかありません（笑）
シュレーディンガーの猫
漫画を描く以外何もできなかった漫画家ツクダダイスケが、子猫を拾うことで人間らしさを身に着けていくというお話。
と、表面上のあらすじはそんな感じですが。
題名のシュレーディンガーの猫は、本当に物理の世界で考えられた実験なんです。
「箱の中の猫は、箱を開けるまで生きてるか死んでるかわからない」というもの。
この里香の夫・ツクダダイスケは、
里香が里帰り出産で自宅にいない間にゴミ置き場に捨ててあったミカン箱を開けて生きている子猫を発見して拾います。
この行為を里香は、
ツクダダイスケでなきゃ観測できなかった未来
って言うんですね。
どうしようもなく手のかかる夫でも、
自分とは違うその感性を認められるって素敵です(*^^*)
粉飾決算
猫にさほど興味もなく、でも何故か一匹の猫に好かれた、ぶっきら棒な父親の物語。
私の中では箸休め的なお話でした。
めちゃ感情移入するわけでもなく、でも感情表現が薄い父親の感情が見える時にクスっと笑える。
題名の粉飾決算の意味も、なぜ天という猫が父親を慕っていたのかも私には読み取れませんでした(-_-;)
誰かわかる方、教えていただきたいです笑
みとりねこ
猫又という妖怪になって人間を看取りたい猫のお話。
猫又って20年以上生きた猫がなれると言われてる妖怪らしいです。
（知らんけど）
猫の浩太は、桜庭家の次男・浩美が生まれた時からの仲良し。浩太は人間の話を信じて、「浩美を悲しませないように猫又になる」と決意します。
それが上手くいくのかどうかはさておき。
浩美くんの名前について物議を醸しだす場面が多々あるんですが、お父さんの言葉が素敵なんですよ～！
その言葉がこちら↓
「あのな、浩美。今すぐ名前を変えることはできないけど、大人になって浩美がまだ自分の名前がイヤだったら、裁判所に届け出て許可が出たら変えることができるんだって。だから、今すぐには無理だけど、大人になってからもう一度考えないか？」
素敵です！
子どもの気持ちを一番に考えてくれるお父さん、惚れますね～！
浩美の名前物議も楽しみつつ、浩太が猫又になるための努力も読みごたえがありますよ♪
おわりに
いかがでしたでしょうか？
その作品も人間模様に猫が関わることで世界が優しく包まれていくような、そんな本です。
ぜひ、読んでみてくださいね(*^^*)
有川ひろさんオススメ作品
今回が猫の本なので、本当は「旅猫リポート」を紹介したいところなのですが・・・
まだ記事になっていないので(-_-;)
「キャロリング」を紹介します！
離婚と出自と夫婦と家族がテーマです。
有川さんの人間の心の描写が好きな方はぜひ読んでみてほしい一冊です(*^^*)
