【ネタバレ・感想】2023年本屋大賞ノミネート!結城真一郎さん「#真相をお話しします」

「絶対騙されない!」と思っていても

「結末は読み切った!」と思っていても

必ず最後に思いもよらない真相が待っている・・・

スポンサーリンク

あらすじ

5つのお話が掲載されている短編集です。

どのお話も読み進めていくと、最初の設定に違和感を感じ始め、最後には思いもよらなかった真相に辿り着きます。

それぞれのお話のあらすじをまとめました!

惨者面談

大学生の片桐は、中学受験を対象とした「家庭教師のアットホーム」でアルバイトをしていた。

社長の宮園に頼まれて、小学6年生の矢野自宅へ家庭教師の契約を取るために向かう。

インターホンを鳴らし用件を伝えると、母親に「片桐先生がうちに起こしになるのは、今日が初めてで?」と聞かれる。

疑問に思いながらも、室内へ案内され、母親に家庭教師についての説明を行っていく。

そこには、思いもよらない結末が隠されていた・・・

ヤリモク

マッチングアプリで出会った女をお持ち帰りしようとする、四十三歳、妻子持ちの男。

ケントと偽名を名乗る男には、美雪という大学生の娘がいた

ある時、妻が美雪の部屋に大量のブランド品があるのを見つける。

どれも高価なものばかりで、大学生のバイト代では到底購入できる物ではなかった。

不信に思った妻が、美雪のスマホ画面を盗み見ると、そこにはマッチングアプリが表示されていた。

美雪はパパ活をしているのだと二人は確信する。

何とかして止めさせたいケントは、自分もマッチングアプリを利用して、美雪のパパ活を阻止しようとするのだった・・・

パンドラ

高校二年生の娘を持つある男は、自分が精子を提供して生まれた子供から連絡を受ける

子どもは中学二年生で翔子といい、顎の形が男にそっくりであった。

翔子は男が本当に父親なのか確かめたいと言い、男は翔子の指示通りにするが、そこには驚愕の事実が隠されていた・・・

三角奸計

桐山は大学時代の友人二人と、リモート飲み会をしていた

友人の一人である宇治原が、四年付き合っている彼女に半年前にプロポーズしたが、すぐに大阪へ転勤となったため話が棚上げになっていると相談してくる。

更に、彼女は浮気をしていると言う。

彼女の浮気が許せず、「あいつを殺しに行く」という宇治原をなだめている内に、話は思いもよらぬ方法へ進んでいく・・・

#拡散希望

渡辺珠穆朗瑪(ワタナベ チョモランマ)は匁島に住む小学生。

匁島は島民全員が知り合いというほど住民が少なく、小学生はチョモランマを含めて四人しかいなかった。

しかもその内の三人は本土からの移住組で、島生まれの子どもは凛子一人だった。

四人とも仲良く過ごしていたが、ある殺人事件をきっかけに凛子は他の三人に対してよそよそしい態度をとるようになる。

チョモランマが六年生になった時、衝撃の事件が発生

全ての謎が明らかになる。

ネタバレない感想

こちらの感想は、ネタバレはしませんので、安心して読んでくださいませ♪

どのお話も途中までは展開が読めます。

読めるんですが!

最後の最後に本当に思いもよらない結末が待っていますΣ(・□・;)

私の中で一番恐ろしかったのは、「三角奸計」です。

思いもよらない結末がそれまでの脈絡になさ過ぎて、背筋が凍る思いでした・・・

ひとつひとつは短いお話ですが、全部濃い内容で面白いので、ミステリー好きはぜひ読んでほしい一冊です(*^^*)

感想(たまに解説)

これより先は小説のネタバレを含みます。結末や種明かしを知りたくない方はご遠慮くださいませ。予期せず結末を知ってしまったとしても、責任は負えませんm(__)m

私の解釈で解説しますので、他の方の解釈や作者の意図と異なる部分が発生する可能性があることをご了承の上、読み進めてくださいませ。

惨者面談

このお話で何より驚くのは、子どもが空き巣少年だったというところです。

お話の途中で母親が違う気がする、というのは何となく予想できるし、途中で片桐も気づきますよね。

でもまさか、母親が子どもが亡くなったことを受け入れられず、亡くなっているのに家庭教師の申込をするとか・・・

母親の狂気が強すぎて、殺人を犯した桂田の存在が薄くなってしまうくらいです。

子どもが生きていると思いたくて、食事を子どもの分も用意して、近所に子どもの勉強の邪魔だと騒音を注意する。

こっちの母親の方が犯罪じみてるんじゃないか、と思ってしまいました。

作中では、矢野悠に扮した子どもが侮れないという話の流れですが、私は母親の方に興味を持ってしまいました(-_-;)

ヤリモク

最後の最後、来るぞーと思ってたら、本当にその結末が来ましたね。

父親が騙された種明かしを読んでいる間に、娘がしているのはパパ活よりもヤバイ、犯罪であるとわかりましたが、父親の絶望を思うと切なくなります・・・

娘にパパ活をやめてほしくて、同じ年代、似た容姿の女性を殺し続けたのに。

窃盗集団の仲間だったとかショックで倒れかねません。

そんな父親が、その後どんな行動をするんだろうと想像してみました。

  1. 美雪を警察に突き出す
  2. 悪いのは美雪じゃなく、窃盗グループと思い、仲間をおびき出して殺していく
  3. 犯罪者になってしまった美雪を許せず殺す

①は挙げてみましたけど、可能性は薄いかなと思っています。

パパ活をやめさせるために、自分が殺人を犯す方なんで。

②が有力候補かなと思いながら書きました(笑)

しかし今回の事件で父親は窃盗グループの二人を殺害しているので、そこから窃盗グループが逮捕され、美雪も一緒に逮捕されてしまう可能性はあります。

そうすると②は不可能になってしまうんですよね。

今、書きながら思いついたのは、美雪が犯罪者として逮捕されないために殺害する、というのもアリかもしれません。

②と③の合わせ技みたいな感じですね。

こんな結末だったら、背筋がヒヤッとしてしまいますっっ

どれにせよこの父親が狂気じみてるのは変わりないですが(-_-;)

父親が逮捕されるとしたら、どんな感じかなというのも考えてみたら面白いかもしれません♪

パンドラ

血液型トリックって感じで面白かったです。

実は夏美が翼の子どもである可能性を調べてみたんですけど、B型とB型からはやっぱりB型かO型しか生まれないようです。

片方がAB型とかO型とかなら、確率の低い珍しい血液型の組み合わせがありえるんですけどね。

精子提供を相手に内緒で受けるなら、献血に連れて行ってからやるべきってことで、教訓にしたいと思います(笑)

このお話の怖さは、事実が判ったことではなく、それを知らなかったことにして生きていくところにあるように思います。

翼は、「何一つとして変わっていない」と言いますが、知ってしまった事実を知る前には戻れません。

記憶喪失にはなれませんから(笑)

血液型占いのB型双子座の「人間関係に変化があるかも」を受け入れられていないことから、翼はこの先も真夏が実の子ではないことに苦しむのではないかと思います。

そして、翔子のことは自分の子だと認めてしまっているので、助けを求められた時は助けざる負えないですよね。

今の家族関係が上手くいかなくなった時に、翔子の方へ逃げてしまうんじゃないかと思ってしまいました(;’∀’)

三角奸計

茂木と宇治原の計画に、私はしっかりと騙されました(笑)

宇治原は彼女が茂木と不倫していると勘違いしていると思い、桐山と一緒に茂木を心配していました。

宇治原の行動力というか、緻密な計画性というか、執念がやば過ぎます(・_・;

ウーバーイーツで自宅を特定するとか!

賢すぎるやん!

過去にも似たような事件を宇治原が起こしているんですが、気にも留めずに読み進めたら、

まさかの殺され方ですよ。

彼女をあんな形で殺害すると思ってなかったので、背筋がヒヤッとしました。

最後の「大事な話はリアルでしなきゃダメだな」という言葉。

そのおかげで桐山は命拾いしましたが、悟るとこはそうじゃないでしょ感が半端ないです。

こんな事件になってしまったら、桐山は宇治原が怖くて仕方ないでしょう。

そして桐山は宇治原によって命拾いしてるので、イツメンを抜けることもできない。

しかも自室で殺人事件が起きてるので、全てバレますよね。

下手したら会社もクビかもしれない・・・

浮気や不倫をする際は、人生を棒に振る覚悟でやりましょうってことで(^-^;

#拡散希望

これも気づかなかったっっ

何か秘密があるなーと思いながら読み続けて、気づいた時には凛子ちゃんがいませんでした・・・

読みながら推理するって難しいー!

始めの3作は何となく展開が読めたのに、三角奸計とこのお話は全然分からなかったΣ(・□・;)

たかが動画のために、子どもの同級生を殺させるルーの両親もお金と名声に捕らわれていますが、チョモランマも仕返しにルーを殺すかどうかを視聴者に決めてもらうという狂気。

作中ではチョモランマはルーの両親だけが考えたように推理していましたが、きっとチョモランマと砂鉄の両親も知っていたんだと思います。

今真実をばらされては困る、と。

じゃぁ、どういう終わりを描いていたんだろう?と思います。

きっと終わりなんか考えていなかったでしょう。

子どもを実験台にしてお金を稼いで、人が一人殺されてもやめることが出来ない人たちですから。

何も知らずにこの3人が島外の中学校に通い始めたら、どうなっていたでしょうね。

島外には「ふるはうす☆デイズ」を知っている人たちばかりですから、一躍超有名人です。

チョモランマは自分が島外では有名人であったことを、どう受け止めたでしょう。

やはり両親に詰め寄って真実を問いただしたかもしれません

ただ、子どもたちにばれたらリアルガチではなくなってしまいますから、「ふるはうす☆デイズ」はここで終わりだったってことですね。

やはり、現実に沿っているが故に読後感がぞわぞわする( ;∀;)

子どもをYouTubeに出してお金を稼ぐのが悪いとは思わないけど、子どもの将来を予期せぬ方向に左右することだけは確かだな、と思いました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

読んだ後の後味が結構悪目なので、繊細な方は昼間に読むことをおすすめします(笑)

昔の世にも奇妙な風というか、あれのもっと現実感あるやつな感じなので、「この後人生どうなるんやろ?」という想像が止まりませんでした(^^;)

ネタがわかっていても楽しく読めるので、ぜひ実際にその世界に浸って気持ち悪さを体験してみてくださいね♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です