【あらすじ・感想】宮島未奈さん『成瀬は天下を取りにいく』

第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞とトリプル受賞を果たした『ありがとう西部大津店』が収録された、宮島未奈さんのデビュー作です!

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『成瀬は天下を取りにいく』の概要

作品名成瀬は天下を取りにいくなるせはてんかをとりにいく
作者名宮島未奈みやじま みな
出版社新潮社
発売日2023年3月15日
初出典「ありがとう西部大津店」
→『小説新潮』2021年5月号
「階段は走らない」
→『小説新潮』2022年5月号
その他は書下ろし
文芸賞など
(受賞またはノミネート)
「ありがとう西部大津店」
第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞を受賞
本書より引用

『成瀬は天下を取りにいく』のあらすじ

中学二年生の成瀬あかりは、幼馴染の島崎みゆきに”「島崎、わたしはこの夏を西部に捧げようと思う」”(本文より引用)と宣言する。

西部大津店は、この年の八月三十一日に閉店することが決まっており、成瀬は毎日西部に通うという。

昔から大きすぎる目標を立てる成瀬は、「二百歳まで生きる」「期末テストで五百点満点を取る」と言って島崎を驚かせてきた。

成瀬がなぜ西部にこだわるのか
目的が読めないまま、島崎も巻き込まれていく。

普通と呼ばれる女の子たちとは全く違う動きをする彼女は、次にどんな挑戦をしていくのか。
成瀬の行動から目が離せません!

『成瀬は天下を取りにいく』の読みどころ※ネタバレあり

『成瀬は天下を取りにいく』の読みどころをまとめました!
一部ネタバレになる可能性があるため、ネタバレを読みたくない方はご遠慮くださいませm(__)m

1.成瀬の周りは彼女をどう受け止めるのか

成瀬は、勉強もできて、運動もできて、芸術にも秀でている、という優秀な存在です。

ただし俗にいう「空気を読む」ということをせず、自分の思い立ったことに全力で取り組んでいき、誰が何を言おうと我関せずという雰囲気です。

そんな成瀬を周囲はどのように受け止めていくのか。
年齢が上がるにつれて、どう変わっていくのか。

成瀬自身は、どのように成長していくのか。

彼女の奇怪な行動だけじゃなく、成長していく姿も読みどころです!

2.溢れんばかりの滋賀愛

舞台が滋賀県大津市の中心部なんですね。

本当に、滋賀県愛、大津市愛が溢れています
平和堂、遊覧船ミシガン、ときめき坂に江州音頭(ごうしゅうおんど)。
どれも地元の方なら愛してやまない滋賀県、大津市の素晴らしい場所や文化です。

一話の題名にもなっている西部大津店に込めた思いは、作者の宮島さんが誰よりも西部の閉店を惜しんでいるようにも読み取れます。

地元の方は読みながら場所が思い浮かぶんじゃないかと思うほど鮮明に書かれているので、グーグルマップで場所を確認しつつ読むのも面白いかもしれません(笑)

『成瀬は天下を取りにいく』の感想※ネタバレあり

初めは成瀬の行動にハラハラドキドキ
それについていく島崎にもハラハラしました。

メインになってるのは、成瀬の中学・高校時代ですが、幼稚園・小学校時代にも触れていて、周囲の成瀬の扱いが成長と共に変化していくのが読んでいて面白かったです。

中高生の女子あるあるのように、「あ~そういうのやるよね、女子って(笑)」と思いならが読みました。

ずっと島崎視点で成瀬を追いかけていくと思いきや、一話ごとに視点となる人が変わっていきながらも島崎も出てくるし西部の話もでてくるので、毎話ごとに違う成瀬の一面が見れました。

成瀬の恋愛事情のところも面白いです(*^^*)
彼女らしい対応の中に、年頃の女子らしさが垣間見えて可愛らしかったです。

最後の最後は、成瀬も島崎も成長したんだなと思って少し驚かされました。

成瀬のやることなすことが異次元過ぎて、終始ハラハラしますが、あっという間に読み終えてしましました♪

まとめ

いかがでしたでしょうか?
『成瀬は天下を取りにいく』の魅力が伝わっていたら嬉しいです!

文字通り「天下を取りに」いこうとする成瀬の成長と溢れんばかりの滋賀愛が楽しめるので、ぜひ手に取って読んでみてくださいね(*^^*)